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Off Script Actors

【後編】第3弾 Shuya×田所ちさ『俳優を何のためにやっているのかわかってない』

俳優と俳優同士が赤裸々に語り合う企画『Off Script Actors』。今回のゲストは俳優・田所ちささんをお迎えして、現代の俳優の在り方について赤裸々に語ってもらった。

俳優として20年以上のキャリアを積んできた田所さん。会話の中で紡がれる言葉の数々は、現代を生きる俳優に刺さる言葉ばかりだった。

ここまで俳優を続けられた要因は?
俳優に必要な考え方や在り方とは?

ぜひ、多くの俳優の参考にしてもらいたい。

売れるためだけに俳優をやっているのか?

田所ちさ 写真:ショコラスタジオ

Shuya:
今どれくらい活動されているんですか?

田所ちさ:
20代後半からなので、20数年くらいじゃないですかね。

Shuya:
その中でも不安は絶えず来ると思うんですよ。活動の波というのはやっぱりありますし、僕も生活面での不安が来ることがある。その中で20年以上同じことをやり続けてこられた秘訣はなんでしょうか?

田所ちさ:
「好き」という気持ちが一番です。もうそれしかないかもしれない。好きじゃなくなったらやめる、それだけです。好き以外に理由がない、というか、理由付けをもうできないですよね。

若い頃は「お芝居に片思いし続けている」とよく言っていたんです。ずっと振り向いてくれない人を好きでい続けるような感じで。できたと思っても、それが正解かどうかも分からない。答えが出ないまま、思いが届かないまま片思いを続けている、そんな言い方をしていました。

でも今は、ただずっと好きなんです。お芝居が好きだからお芝居を続けている。

Shuya:
純粋に好きということだけで。

田所ちさ:
それ以外にないですね。好きだから辛くてもやれるし、わからなくて苦しいのも、好きだからこそわかりたいと思って努力できるんだと思います。

Shuya:
そういう人はきっとずっと長くやっていけると思うんです。でも若い人の中には、俳優を通して何をしたいのかが曖昧な人が多いように感じていて。「好きだからやっている」とはっきり言えない、どこかもやもやとしたままでいる人が多い気がします。

田所ちさ:
「売れたい」「自分を見てもらいたい」「見つけてもらいたい」という気持ちなのかもしれないですね。

Shuya:
そうですね。

田所ちさ 写真:ショコラスタジオ

田所ちさ:
それが漠然としているのは、「何のためにやっているのか」が自分でも分かっていないからやっているんですよね。でも、やっているうちに、見てくれた人が何か答えを教えてくれることもある気がします。

Shuya:
今話してくださったことで、いろんな視点が広がっていると思います。

ただ、私がずっともやもやしているのは、俳優が「手段」になってしまっていることなんです。

「俳優がやりたい」とはっきり言える人が少なくて、なんとなく有名になりたい人が、その手段として俳優を使っているだけになってしまっている。

主体的に「自分は俳優として、これをクリエイティブに演じたい」というのではなく、ただ大きな作品に出て影響力を持ちたいという理由で俳優を選んでいるだけなのではないか、というのが一つの課題だと感じています。

そうなると長く続けられないんですよ。ずっとしんどくなる。

だから、ウェルビーイングに俳優を続けられる人が少なく、30代・40代でやめてしまう人が多いのではないかと思っていて。

長く続けられる秘訣だったり、俳優と何かを掛け合わせてバランスよくやっていく方法だったり、そういうことを考えていきたいんです。

田所ちさ:
なるほど。昔に比べて、俳優だけじゃなく、例えばコーヒーショップをやりながら俳優を続けるとか、そういう人が増えてきたと思うんです。

Shuya:
そうですね、増えてきました。

田所ちさ:
それが今の時代に合っている俳優のあり方な気もしないでもないですよね。

映画『枯れ木に銃弾』 場面写真

Shuya:
僕も今フリーランスの仕事をしながら俳優活動をしていて、それを前面に出しています。アルバイトをするよりも、自分でお金を作っていくことで、経済的な安定が生まれて、心の余裕にもつながると思っています。

田所ちさ:
確かにその通りだと思います。

Shuya:
それが長く俳優を続ける秘訣の一つかな、とも思いますね。あと、これは個人的な意見ですが、結婚して生活が安定するというのも、俳優を続ける上でとてもいい手段の一つだと思っていて。

知り合いの女優さんにも「良い人がいたらキャリア気にせず結婚に飛び込んでみたら?」と言ってしまうことがあるくらいです(笑)。

田所ちさ:
いいと思うんですよね。ただ、私自身は「結婚した夫を不幸にしてはいけない」という思いはずっとあります。でも、私がこの仕事をしていることで、夫も普通のサラリーマン生活だけでは味わえない人生を一緒に味わってくれていると思うんです。

「私の一番のファンを楽しませている」という感覚があって。夫も、私が好きな仕事を楽しくやっているのを見て、「楽しそうだからいっか」と応援してくれているんです。

結婚が見出してくれた新たな俳優としての道

Shuya 写真:ショコラスタジオ

Shuya:
素敵なアドバイスをいただいた気がします。

田所ちさ:
奥さんが一番のファンだと思うから、やっぱりそのファンを楽しませることが大事だと思うんですよ。

1万人の人に見てもらって有名になりたいという気持ちもわかりますが、長くやってくると、数少ないけどずっと応援してくれている人たちを楽しませる自分でいたい、という気持ちが大事になってくる気がします。それは奥さんだったり、家族だったり、長い友人だったり。

Shuya:
そこに早く気づけるかって、すごく大事ですよね。

田所ちさ:
その人たちが一番ちゃんと見てくれていますから。上手い下手じゃなくて、ちゃんと見てくれている。「今回はこういう役をやるんだね」「よかったよ、また頑張ってね」と言い続けてくれる人たちを大切にすること。それが核になると思います。

Shuya:
若い世代はやっぱり大きなものを目指したいし、それも大事じゃないですか。高い目標に向かって動くことは必要です。でも、そこを目指すからこそ、足元がいかに大切かというのは、長く続ける上でもすごく重要だと思います。

田所ちさ:
足元が見えていれば、迷ったときに戻ってこれるんですよ。自分が何者かわからなくなった時でも、足元を見れたら、大事なものがそこにある。「自分はお芝居が好きなのか、続けたいのか、何がしたいのか」と思った時に、足元が見れるかどうかが大事だと思います。

夢や希望のために上を見ることも絶対に必要だし、私も見たい。でも同時に足元を見ておくことが、長く続けていく上では一番大切なことかもしれない。

夢は大きく持った方がいい、それは間違いないですが。

Shuya:
すごくよく分かりました。長く続けるために大切なこと、ということで。

田所ちさ:
応援してくれている人たちのことを忘れないこと。ここにいる大事な人たち、絶対に応援してくれている人たちが、必ずいるから。本当のことを言ってくれて、最初から応援してくれている人って、家族だったりすることが多いですよね。

第3弾 Off Script Actors Shuya×田所ちさ

Shuya:
出発点は0じゃないですからね。

田所ちさ:
0じゃないんですよ。それに加えて、自分が自分の一番のファンでいなきゃいけない、ということも大事にしています。

Shuya:
自分のファンでいるために、どういう時の自分が好きですか?

田所ちさ:
どういう時というか……自分のことが好きでいられなくなったらダメだと思うけれど、好きでいるためには、どういう自分を作るかが大事ですよね。

Shuya:
私はかなり自分のことが好きで、どんな時も好きです(笑)。

田所ちさ:
それは自分が好きなことをやっていて、自信を持って生きているからだと思いますよ。

今自分が選び取ってやりたいことができているから、自分のことが好きだと言える。その強さは、今やっていることへの自信から来ているんだと思います。

自分が好きだから、他の人のことも見れるし。

Shuya:
その手前に、まず自分を好きでいる、ということがあるわけですね。

田所ちさ:
でも、自分を好きでいるためには、自分のファンになるためには、人に見られても恥ずかしくない自分を作っていかなければいけないと思うんです。

第3弾 Off Script Actors Shuya×田所ちさ

Shuya:
俳優をやる上でも大事ですけど、一人の人間としても大切なことですね。

田所ちさ:
素敵な俳優さんって、人として素敵な方ばかりな気がします。特に長く続けていて売れていらっしゃる方たちは、本当に素敵な人が多い。だから、人として正しいというより、素敵でありたいという気持ちを持つことが、俳優を続ける上でもとても大事なんだと思います。

Shuya:
では最後に、どこまで俳優を続けたいか、またどんな俳優になりたいかを聞かせてください。

田所ちさ:
私は、好きな人たちとお芝居ができるようになりたい。お芝居が好きで見てきた人たち、まだ共演したことのない人たちと、対等にお芝居がしたいんです。仲良くなりたいとかではなく、お芝居で会話したい。お芝居の中で対等に勝負したい、という気持ちです。

Shuya:
「対等に」というのは、どういう意味合いで?

田所ちさ:
すごい人とお芝居するとき、どうしても気後れしてしまうことがある、そういう意味です。立場的に上に行きたいとか、売れたいとかではなく、お芝居の時はちゃんと、遠慮なく自分の持っている力を出し切って勝負したい。

真っ向からお芝居がしたい、ということです。そのためには自分がそのレベルに到達しなければいけないし、その役を勝ち取らなければいけない。向こうは特に何も思っていないでしょうし、こちらが準備を整えて臨む、ということでもあります。

Shuya:
何歳まで続けたいとか、年齢の目標はありますか?

田所ちさ:
体が動ける限りやりたいです。80歳になったら80歳の私が演じられる役があるかもしれない。

Shuya:
ずっと純粋に好き、ということですね。

田所ちさ:
それがいいところだと思う。ずっとできるじゃないですか。それが俳優の魅力だと思います。

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