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映画

瓦礫の中から、命は生まれ続ける――ガザ在住チームが記録したドキュメンタリー『9月のアル・ラシード通り』公開

見渡す限り瓦礫と化した街を、荷物を山積みにしたトラックや馬車、着のみ着のままの人々が南へと進んでいく。ガザ在住のパレスチナ人チームがその只中で撮影したドキュメンタリー『9月のアル・ラシード通り』(Voices from GAZA/ガザからの声)が、7月31日に公開された。

破壊の記録でありながら、そこに映るのは、避難の道の途中でテントを張り、火を起こし、子どもを育てながら生き続ける人々の姿である。

本作の舞台となるアル・ラシード通りは、ガザ地区の海岸沿いを走る主要な道路だ。2023年10月から約2年にわたって繰り返された空爆で、ガザの街並みは一変した。ガザ保健省の発表によれば、死者数は7万2千人を超え、うち2万1千人以上が18歳未満の子どもとされる。見渡す限りビルが崩壊した風景は、原爆投下後の広島を想起させると本作は表している。

避難命令の道を、数千人が南へ

2025年9月9日、イスラエル軍はソーシャルメディアや空から撒いたビラを通じて、ガザ市北部の住民に対し、アル・ラシード通りを経由して南部のアル・マワシまで避難するよう呼びかけた。撮影チームがその道で目にしたのは、北から南へと逃れる人々の絶え間ない流れだった。

9月16日、長らく予告されていたイスラエルの地上軍事作戦が始まり、北部の戦闘はさらに激化する。

数千人規模の避難民が南下するなか、道端でテントを建てて家族の休息の場をつくる人、火起こしの燃料を探す親子、キャンプを清掃する家族の姿があった。

どの家族でも子どもたちが懸命に手伝う。パレスチナでは15歳未満の子どもが人口の約37%を占め、若年層の割合が高い社会だ。カメラは、戦禍のなかでも途切れることのない生活の営みを静かにとらえていく。

停戦、そして瓦礫の中の再生

10月10日、ガザとイスラエルの間で合意された停戦が発効した。

上空での監視飛行は続き、停戦後も死傷者が報告されるなかで、それでも人々は故郷へ戻り始める。ブルドーザーが瓦礫を押しのけ、前へ進むための道を開く。停戦後の3か月間で、ガザでは約1万7千人の子どもが誕生したという。

瓦礫の中から未来を担う命が今日も生まれている――本作はその事実に静かに視線を注ぎ、破壊のただ中で生まれ変わろうとする土地の姿を描き出す。

なお、アル・ラシード通りは、単なる幹線道路ではない。

2005年以降イスラエルに包囲されているガザ地区では電力供給が不安定で、1日に最大20時間もの停電が起こる。暗闇の自宅を離れた人々が夜に集う場所として、また空爆で家を失った人々が身を寄せ合う場として、この道は住民の生活に深く根ざしてきた。

2024年2月29日、物資を積んだ搬入トラックに群がった人々が銃撃と砲撃を受け、少なくとも112人が死亡、760人以上が負傷したとされる「小麦粉虐殺」の現場も、この通りだった。

生活の場であり、避難の道であり、惨劇の舞台でもある――アル・ラシード通りは、ガザの現実を凝縮した場所である。

ガザ発、16年の記録の蓄積から

監督は、ガザ出身の映像作家・プロデューサー・ジャーナリストで、製作会社アレフ・マルチメディア(ALEF Multimedia)の創設者でもあるムハンマド・サウワーフ。

16年以上のキャリアで30作品以上に携わり、マイケル・ウィンターボトム監督との共同制作で2021年のガザ攻撃を記録した『Eleven Days in May』(邦題『忘れない、パレスチナの子どもたちを』2024年、配給:アップリンク)でも知られる。

アレフ・マルチメディアはこれまで、BBCやアルジャジーラ、WHO、UNDPなどとも協力しながら、紛争下の地域に生きる人々の姿を記録してきた。日本での配給・宣伝はアップリンクが手がける。

作品情報

『9月のアル・ラシード通り』
2026年/パレスチナ・日本/アラビア語/67分/1:1.65/5.1ch

監督:ムハンマド・サウワーフ
撮影:イブラヒム・アル・ウトゥラ、ハッソナ・アル=ジャルジャウィ
ナレーション:ガダ・アブド・アルファッタ
編集:芝暢佑
整音:真野悠作
製作:アップリンク、アレフ・マルチメディア
プロデューサー:浅井隆、ムハンマド・サウワーフ
共同プロデューサー:サラ・アル・ハワ
配給・宣伝:アップリンク

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