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俳優コラム

第7回 成原佑太郎コラム『自分との約束は、必ず資産になる』

【English Version is here】
第7回コラム英語版はこちら!

人との約束は、守れなければ相手を傷つけたり、迷惑をかけたりする。けれど、自分との約束は、守らなくても誰も傷つけない。「今日くらいはいいか」と、簡単に破れてしまう。

それでも、そんな小さな約束を守ってきた時間は、確実に自分の中に残っている。そして今では、それが自分を信じるための根拠になっている。

今回のコラムでは、2年半前に先輩と交わした約束をきっかけに、なぜ僕が「自分との約束は、必ず資産になる」と思うようになったのか。僕が毎日続けてきたことを振り返りながら書いてみる。

2年半前に約束を交わした先輩との再会

つい先日、思いがけず数日だけ日本へ帰ることになった。

本来であれば、2027年4月にビザが切れるまでは、日本へ帰らないつもりだった。短い滞在でゆっくりする時間もなかったが、どうしても会いたい人がいた。

僕がInstagramのストーリーを毎日投稿するきっかけをくれた人だ。

2年半前、バンクーバーへ出発する数日前に、僕はその先輩と食事をしていた。これからどんな生活をするのか、バンクーバーで何をやりたいのか。そんな未来の話をしていたとき、先輩から言われた。

「どんな小さなことでもいいから、何か毎日続けてみたら?」

当時の僕も、朝起きたらベッドを整えたり、少しでも筋トレをしたり、自分で決めたことを続けてはいた。

ただ、改めてそんな提案をされたことで、せっかくなら、バンクーバーでの生活を記録できる新しいことを始めてみようと思った。

バンクーバーへ移ってからは、その日の出来事や考えていることを自撮りしながら話し、日記のようにストーリーへ投稿するようになった。

それから約2年半。

その先輩とカフェで再会した。

時間は足りなかったが、次に会うときまでに、また新たな土産話を作って帰ってきたいと思える、濃い時間だった。

そのなかで、先輩がこう言った。

「まさか、本当にやり切るとは思わなかったよ」

始めた頃は、1年続けられたら十分だと思っていた。

数字だけを見れば、決して短い時間ではない。しかし、振り返ってみると、思っていたよりもずっと短く感じた。

まだ2年半とも言える。されど2年半でもある。

少なくとも、その日から今日まで、僕はその約束を守り続けてきた。

地道な積み重ねほど、人に見せられる変化は少ない

ストーリーを毎日投稿することには慣れた。ただ、決して楽な日ばかりではない。

一番困るのは、話すことが見つからない日だ。

何もしていないわけではない。でも、人に話せるほどの出来事があったわけでもない。

仕事やプロジェクトが大きくなれば、関わる人も増える。自分のプロジェクトでなければ、自分の判断だけでは話せないことも多くなる。

そもそも、毎日の積み重ねには、話題にできるほどの変化が起きない。

例えば、野球選手が毎日素振りをしているとする。その様子を、毎日SNSに投稿しても、試合で活躍したときほどは注目されないだろう。

本人にとっては毎日の素振りこそが大切でも、外から見れば、昨日と同じことを繰り返しているように見える。

努力が人の目に映らないのは、本人が隠しているからではなく、人に見せられるほどの変化が毎日起きるわけではないからなのかもしれない。

SNSを開けば、誰かが結果を出した瞬間がすぐ目に入る。結果が出た後なら、そこに至るまでの地道な時間にも物語が生まれる。

しかし、その積み重ねが結果に結びつくまでは、なかなか人の目に留まらない。

では、そんな日々には何も積み上がっていないのだろうか。

僕は、そうではないと思う。

何も起きていないように見える日でも、その人の現在地を作っているのだと思う。

それでも、「今日は何を話そう」と考える日は、今もある。

続けるために見直した「何のため、誰のため」

第7回 成原佑太郎コラム『自分との約束は、必ず資産になる』

ストーリーを見てくれた人から、コメントや反応をもらえることは嬉しい。

自分の考えに共感してもらえたり、挑戦を応援してもらえたりすれば、もっと頑張ろうと思える。それが、続けるエネルギーになったことも何度もある。

ただ、それだけを求めていたら、いつか続けられなくなるとも感じた。

毎日、誰かの役に立つことを言わなければならない。昨日より面白い話をして、もっと多くの人に見てもらわなければならない。

そう考えるほど、少しずつ言葉が自分のものではなくなっていく。

発信するためのハードルも、上がり続けてしまう。

だから僕は、そんな状況になったときこそ、始めた頃を思い出すようにした。

何のために始めたのか。誰のために始めたのか。

始めたときにあったのは、再生回数でも、人からの評価でもなかった。先輩との約束であり、同時に、自分との約束でもあった。

人に向けた発信ではあるが、その約束を守る相手は自分だった。

そう考えると、少しだけ楽になった。

今日の投稿が何人に届いたかではなく、今日も自分との約束を守ったか。

続けるために、割り切っただけなのかもしれない。それでも、その原点に戻れたから、ここまで続けられたのだと思う。

自分との約束は、なぜ資産になるのか

第7回 成原佑太郎コラム『自分との約束は、必ず資産になる』

先輩はさらに、こう言った。

「これを10年続けたら、すごい資産になるよ」

ここでいう「資産」とは、何なのだろうか。

毎日の投稿は、確かに記録になる。いつか別の形で使える日が来るかもしれない。

一方で、この発信が具体的な仕事につながるかは分からない。そもそも、Instagram自体が今後も同じ形で残っているとは限らない。

それでも、「少なくとも、これだけは続けてきた」という事実は残る。

「自分は何でもできる」というような、大きな自信ではない。けれど、誰かの評価や数字に左右されるものではない。

そして、自分との約束は、毎日のストーリー投稿に限らない。

毎朝、鏡の前で笑う。朝起きたらベッドを整える。たとえ5回だけでも、毎日筋トレをする。一日一回、人を褒める。

そんな小さなことでもいいと思う。

僕自身、ストーリーを投稿することが最初の約束だったわけではない。ベッドを整えることや、少しだけでも体を動かすこと。人から見れば、どうでもいいようなことから始めてきた。

約束を守れないたびに、自分の意志の弱さを疑ってきた。

でも振り返ると、最初に決めた約束が、そのときの自分には少し大きすぎたこともあった。

大切だったのは、約束の大きさや派手さではなく、自分で決めたことを、自分が守れたかどうかだった。

先輩が言った「資産」とは、記録そのものだけではなく、こうして自分の中に残るものなのだと思う。

今日まで約束を守ってきた時間は、すでに僕の自信になっている。もっと正確に言えば、自分を信じるための根拠になっている。

だから僕は、自分との約束は必ず資産になると思っている。

さて、次はどんな約束を自分と交わそうか。

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