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映画評論家・佐藤忠男の映画人生を辿るドキュメンタリー『佐藤忠男、映画の旅』関西にて再上映決定!
日本を代表する映画評論家・佐藤忠男の映画人生を4年にわたって記録したドキュメンタリー映画『佐藤忠男、映画の旅』(英題:Journey Into SATO TADAO)が、大阪・シネ・ヌーヴォXにて2026年7月18日(土)から7月31日(金)まで再上映される。
本作は2025年11月に新宿K’s cinemaほか全国順次公開され、第38回東京国際映画祭(2025年)アジアの未来部門での特別オープニング作品上映、第99回キネマ旬報ベスト・テン(2025年度)文化映画部門第4位選出など、各方面で高い評価を受けた。
監督は、佐藤が学長を務めた日本映画学校(現日本映画大学)出身の寺崎みずほが務めている。
独学で映画評論の道を切り開き、アジア映画発掘に人生を捧げた巨人

佐藤忠男は1930年、新潟県新潟市生まれ。第二次世界大戦中に予科練に入隊し、訓練生として在籍中に敗戦を迎える。戦後は鉄工所や国鉄、電電公社で肉体労働をしながら、古本屋と映画館を勉学の場として独学で映画評論の道を切り開いていった。1946年にGHQの民主主義啓蒙映画『春の序曲』を見て受けた大きなカルチャーショックが、映画への傾倒の原点となっている。
20代半ばには映画雑誌への投稿で注目を集め始め、1954年に雑誌『思想の科学』へ投稿した大衆映画論「任侠について」が哲学者の鶴見俊輔に絶賛されたことで評論活動が一気に加速する。
1956年に刊行した初の著書『日本の映画』でキネマ旬報賞を受賞し、映画評論家としての地位を確立。
上京後は小津・黒澤・溝口など巨匠たちの監督論を論じ、大衆文化の幅広い領域で執筆活動を展開した。生涯で150冊に及ぶ著作を世に出し、映画研究の集大成『日本映画史』(全4巻)は芸術選奨文部大臣賞に輝いている。
1991年からは16年間にわたってアジアフォーカス・福岡国際映画祭のディレクターを務め、アジア・中東など各国の映画を自ら発掘して日本へ紹介し続けた存在でもある。
妻の久子が通訳・コーディネーターとして常に傍らで活動を支え、毎月のようにアジア各地へ調査旅行に出かけるという生活が15年以上にわたって続いた。
韓国、フランス、モンゴル、ベトナムなどからも勲章を授与され、2019年には映画評論家として初めて文化功労者に選出されている。2022年3月、胆のうがんにより91歳で逝去した。
「世界で一番好きな映画」を追いかける——佐藤の”宝物”を探す旅

生涯で1万本を超える映画を鑑賞した佐藤が、「小津安二郎監督の『東京物語』と比肩するくらい、世界で一番好きな映画」と言い残したのが、インドのケーララ州で作られた映画『魔法使いのおじいさん』(1979年、G.アラヴィンダン監督)だ。
本作はその一本を手がかりに、佐藤の”たからもの”を探す旅へと出発する構成になっている。
佐藤が「至純至高の映画詩人」と称して深く敬愛したアラヴィンダンは、1935年にケーララ州で生まれ、漫画家・エッセイストを経て映画監督に転身した人物だ。
豊かな自然の中に独自の霊性を見出し、神話的な物語構成と社会批判的な視点をもって民衆の素朴な心を綴り続けた監督で、1991年の逝去後も佐藤は回顧上映をたびたび実現している。
「サタジット・レイに比肩するインド映画の巨匠であり、世界で最も偉大な映画作家のひとりだった」——佐藤が残したその言葉が、二人の絆の深さを物語る。
韓国では、佐藤が特に敬愛したイム・グォンテク監督を訪ねる。佐藤が1991年のアジアフォーカス第1回でいち早く作品を選定し、長年応援し続けてきた監督であり、2002年にはカンヌ国際映画祭監督賞を受賞するなど韓国映画界を代表する存在だ。
釜山国際映画祭創設者のキム・ドンホ、韓国映画監督のイ・ジャンホ、ペ・チャンホ、パク・ジョンウォンらも本作のインタビューに応じており、アジアにおける佐藤忠男の存在感がそこから伝わってくる。
生前のインタビューに加え、当時の関係者の証言、報道資料、写真、映像を組み合わせながら、佐藤が「映画の世界地図」を作るという夢に向かって歩み続けた軌跡をたどる。
教え子の監督・寺崎みずほが密着取材で紡いだ日本初の映画評論家

監督を務めるのは寺崎みずほ。1985年生まれ、神奈川県川崎市出身。桜美林大学英米文学科卒業後、日本映画学校(現日本映画大学)に入学し、佐藤忠男が学長を務めていた時代に「日本映画史」と「映画史概論」の授業を受けている。
卒業後は映像制作会社グループ現代に入社し、NHKの番組や文化庁のフィルム制作事業などに関わった後、2015年にNHKのセルフドキュメンタリー『極私的ドキュメンタリー にっぽんリアル』でディレクターデビューを果たした。
以降、NHK「ハートネット TV」など介護・福祉系の番組ディレクターとして活動を続けており、長編映画の監督は本作が初となる。
取材を始めたのは2019年。当時89歳だった佐藤が、妻・久子への思いを大胆で率直に語る人柄に惹かれてカメラを回し始めた。その約1か月後、長年連れ添った妻の久子が逝去し、同年11月には文化功労者への選出という知らせが届く。
妻とともに尽力してきたアジア映画の文化交流が評価された栄誉だった。寺崎監督はその後も密着を続け、佐藤の少年期の戦争体験、映画との出会い、アジア各地への旅の記録を積み重ね、2022年3月の逝去後も取材を継続して本作を完成させている。
「佐藤さんの夢は、『映画の世界地図』を作ることでした。夢半ばで佐藤さんは逝きましたが、そのバトンをつなぐのは同じく映画を愛する私たちだと思います」——完成した作品に寄せた監督のコメントが、本作に込められた思いを端的に示している。
【作品情報】

映画『佐藤忠男、映画の旅』(英題:Journey Into SATO TADAO)
2025年 / 日本 / 98分 / カラー / DCP / ステレオ
監督:寺崎みずほ
撮影:大久保千津奈(JSC)
録音:姫井信二
編集:遠山慎二
プロデューサー:川井田博幸
製作・配給:グループ現代
出演:佐藤忠男、秦早穗子、イム・グォンテク、シャージ・N・カルン ほか
【主な上映歴・受賞歴】
- 第38回東京国際映画祭(2025年)アジアの未来部門 特別オープニング作品
- 第99回キネマ旬報ベスト・テン(2025年度)文化映画部門 第4位
【関西再上映情報】
2026年7月18日(土)〜7月31日(金) シネ・ヌーヴォX(大阪)
公式サイト:http://satotadao-journey.com/
公式X:@journeySATOTADA Instagram:journeysatotadao


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