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第5回 成原佑太郎コラム『蒔いた種は、いつ芽を出すのか?』
【English Version is here】
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Vol.5では、舞台『STAND』での経験から学んだチームビルディングやキャスティングについて書くつもりだった。 しかし、いざ書き始めようとすると、どうしても言葉が出てこなかった。
僕は、決して『STAND』での経験を否定したいわけではない。 あの時間は今も自分の中に大きく残っているし、当時考えたこと、悩んだこと、失敗したことは、振り返れば語れることがたくさんある。
まだ何も成し遂げていない自分が、過去の出来事を整理して語り続けることへの違和感。 過去を言葉にすればするほど、それが今の自分から少しずつ離れていく感覚があった。
だから今回は、過去の話ではなく今の話をしたいと思う。『カナダに来てから蒔いてきた種が、少しずつ芽を出し始めている』その実感を共有したい。
カナダの2年間で、何が変わったのか?
一度立ち止まって自分を見直したとき、ある感覚が浮かんできた。
それは「カナダに来てから蒔いてきた種が、少しずつ芽を出し始めているのではないか?」という感覚だ。
人脈、経験、技術…そういったものが、時間をかけて少しずつ育ってきている実感がある。 これは派手な変化でもなければ、「これが結果だ!」と明確に示せるものでもない。それでも、何かが確かに動き始めている実感がある。
カナダに来た当初は、英語もままならないままActing Classに飛び込み、歯が立たずに帰る日々だった。オーディションに行っても、何を求められているのかを十分に掴めないまま、その場をやり過ごすことも多かった。もちろん、今でも足りていない部分は多い。
それでも、クラスの中でのコミュニケーションは以前より取れるようになっているのは実感している。
ただ英語を聞き取るだけでなく、その場で何が本当に求められているのかを読めるようになってきた。オーディションにおいても、英語が完璧でないことは、必ずしもマイナスではないと思えるようになった。
日本人であること、自分が持つ背景やアイデンティティを、以前より意識的に武器として使えるようになってきたと思う。
さらに、カナダの人間関係も少しずつ広がりを見せている。
最初はワーホリで来た人たちとの繋がりが中心だったが、今では『カナダで長く暮らしている人』『第二言語で夢を追っている人』『第一線で仕事をしている人たち』とも、少しずつ関わらせてもらえるようになっている。
もちろん、来た当初から続いている縁も、今もある。
これは、僕が急に何者かになったという話ではない。
それでもこの数年、不格好でも、つたなくても、とにかく現場に足を運び、人に会い、話し続けてきた積み重ねが、少しずつ次の場所へと繋がっていると感じる。
そして何より大きかったのは、自分の活動を見てくれていた人から声がかかるようになったことだ。
同じ志を持ち、一緒にプロジェクトを進めていける仲間ができた。1人で動いてきた時間が長かったからこそ、同じ方向を向いて話せる相手がいることの重みが、以前よりずっと深くわかるようになった。
『焦り』だけで動いていた自分はもういない
最近、「もう少し休んだ方がいい」「肩の力を抜いてやってみな」と言われることが増えた。これは、ありがたい言葉であり、自分では気づいていなかった部分を見直す機会にもなっている。
ただ、そのとき改めて自分を振り返って気づいたことがある。それは「苦しいからやっているわけではない」ということだ。
大変なことも、不安になることも、もちろんある。それでも、やりたいからやっている。気づいたら続けていた、というのが正直なところだ。
以前は、結果を出さなければという焦りに引っ張られていた部分があった。今はそれだけではない。少しずつ、自分の軸で続けられるようになってきた。バンクーバーに来て3年目。いろんなことがようやく動き始めたという感覚の方が、今は強い。
また新たに何を蒔いていくのか?
僕のビザは2027年4月に切れる。このまま残るのかどうか、周りから聞かれることも増えた。残れるなら、もちろんそれがいい。
ただ同時に、残るまでの間にまた種を蒔き、育てていかなければ、たとえ4年目をここで過ごせたとしても、その意味は薄くなってしまう気がしている。
今もまだその過程に過ぎない。試したいことも、挑戦したいことも、まだたくさんあるからこそ、この1年もまた種を蒔いていきたい。
【蒔いた種は、いつ芽を出すのか?】
それは、すぐに芽が出るものもあれば、何も起きていないように見えるものもある。そもそも、芽が出ていること自体、しばらく自分では気づけないこともある。
今の自分を少しずつ支えているのは、何も持っていなかった頃にやっていたことだと思っている。
英語が満足に話せなくてもクラスに通い続けたこと。現場でできる限り人と話したこと。クオリティはさておき、オーディションを受け続けたこと。あの頃は、それがいつ返ってくるのか、まったくわからなかった。ただ、その場その場でできることをやるしかなかった。
今も、何か大きな結果を手にしたわけではない。ただ、少なくとも一つ言えることがある。
蒔いたものは、すぐに見えなくても、消えてなくなるわけではない。時間がかかっても、形を変えても、後から自分を支えてくれることがある。
まだ何者でもない自分が、大切にしていることだ。そのことを、ここに残しておきたい。
僕は、これからの未来にワクワクしている。
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